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問題行動に対する影響 (格闘技セラピー 補足)

前回のエントリーの補足として、他覚的に観察しやすい問題行動に対する影響について記す。(詳細等は専門書等を参照されたい)


問題行動の低減

問題行動は格闘技等で低減することがあるようだ。

実際「当初は問題行動(例:上級者や年長者などに対して失礼な態度をとる等)が顕著であったが、格闘技を経験すると問題行動が低減した(例:現実に即した行動、関係性に見合った行動、分相応の行動を取れるようになった等)」というようなエピソードはけっこうある。

格闘技の経験(練習・試合・メンバー等とのコミュニケーションなど)により誤った判断が訂正され、あるいは幼児的万能感が抜け(身の程を知る)、これに随伴して問題行動が低減するというのは至極当然のことのように思える。

また「運動や格闘技等の効果で精神障がいが寛解して、問題行動が低減する」といった流れも考えられる。関連エントリー「格闘技セラピー」

実際は複合的な要素が考えられるが、ここでは省略する。

 

問題行動が低減しないケース、増悪するケース

一部の重症例などでは、格闘技等を行っても問題行動は低減せず、場合によっては逆に増悪することもある。

わかりやすい例として、過去に私も関わった困難事例Bのエピソードを挙げる。

Bは初歩的な技術をマスターできないレベルであったが、彼は思考と行動の歪みが著しく、上級者等に対して上から目線になる、上から否定する、上から指導を行う、不適切な攻撃行動を示すなど、実情にそぐわない挙動や発言すなわち問題行動が頻発した。思考と行動の歪みについては、過去のエントリー「格闘技と不安」を参照のこと。

Bの問題行動は格闘技で低減することなく、逆に増悪を示した。例えばスパーリングで私が手加減(注1)しているとBはニヤッと上から目線の笑みを浮かべ、スパーリングで私が技をかけるとBは「格闘太郎さんが悪いことをした!(個人が特定されないよう表現を変えている)」と騒ぎだす(注2)、といった類いのことが何遍も繰り返されるばかりで、彼の問題行動は低減せず。「格闘太郎さんが悪いことをした」というBの誤った判断は事後に訂正されることもなく(注3)、以後「格闘太郎さんは悪い(ここでは『悪い』の概念が拡張され多義的となる)」という虚構を前提とした問題行動が次々と展開された。(注4) Bの問題行動は枚挙にいとまがないが、ここでは省略する。(注5)

 

1Bが自爆的・自滅的な逃げ方や耐え方を頻繁にする為その都度技を解く、Bが対応できずに怪我をしてしまいそうな技は使わない、関節技を寸止めする等々。関連エントリー「関節技」

2)例えば実際はBが強引に逃げようとしたり耐えようとしたりした状況であっても、彼は「強引に技をかけられた」と騒ぎだすような状態であった。なお、問題行動に厳しい対応をする(しそうな)相手に対しては、陰で文句を言った。Bのような問題行動は、大なり小なり相対的である。(そのような品位欠如の併発がなければ、Bはとっくに誰かに殺されているだろう。恥ずかしながらBの問題行動が原因で私もスイッチが入りかけてしまったことがあるのだが、そのようなときも彼は品位を欠いた反応を示した) 関連エントリー「格闘技と不安」「ものすごい政治をやらなきゃいけない」

3)私は最大限の対応を行ったつもりだが、いかなる説明・経験も用を成さず。Bの思考は、ほとんど際限なく歪んでしまうようであった。私や第三者などがBの問題行動に言及すると、彼は論理的におかしなことを言いだしたり、事実を否認したり、自分に都合のいいように話を作り替えたり、黙り込んでしまったり、オウム返しになったりして、会話が成立しない。そんな見るにしのびない状況を何度経てもなお、Bは I'm OK,You're not OK.(自己肯定・他者否定)という態度を取り続けるような状態であった。関連エントリー「ものすごい政治をやらなきゃいけない」「格闘技と不安」

4)Bは私の発言や行動などを次々と悪いように解釈し、露骨に否定的な態度を示した。Bの問題行動は格闘技以外の文脈でも見られた。Bの問題行動について、当エントリーでは控え目な表現にとどめている。なお、これは小児や中高生の事例ではなく、Bは当時40歳前後の男性である。関連エントリー「格闘技と不安」

5)Bに対しては、心理教育、不安を取り除くための配慮、思考の歪みを訂正するための働きかけ、思考の歪みを生じさせないコミュニケーション、問題行動を起こさせない空気作り、問題行動を制止するためのリアクションなど様々なサポートを行ったが、問題行動の消失には至らなかった。(数年単位の長いスパンで見るとBの問題行動には波あるいは変化があったが、問題行動の消失には至らず) 関連エントリー「ものすごい政治をやらなきゃいけない」

 

最後に

当エントリーでは、格闘技の問題行動に対する影響について記した。

格闘技を行っても問題行動が低減せず逆に増悪した事例(B)の紹介については、諸般の事情に鑑みやや詳細な説明を行ったが、個人が特定されない表現を用いたことなどもあり、少々読みにくい文章になってしまったかもしれない。

なお、現在当団体では問題行動(とくに改善が見られない重症例)への対応を基本的に停止している。問題行動があっても担当の精神科医臨床心理士等と連携できる場合は受け入れを前向きに検討するが、この条件を満たさないケース、とくに専門家の治療を受けていないケース、病識(自分は病気である、という自覚)が欠如した重症例などの受け入れは原則として行わない。

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